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飲食業界で働く20代の多くが収入や労働時間に悩みを抱え、より良い条件を求めて転職を考え始めています。しかし、自分の市場価値や具体的なキャリアプランがわからず、最初の一歩を踏み出せない方もいるのではないでしょうか。
この記事では、料理人の平均収入からキャリア別の収入実態、高収入を得るための戦略を解説します。記事を読んで、今後の収入アップやキャリア形成の道筋を明確にしましょう。
料理人としての収入は経験やスキル、働く場所によって大きく変わります。高収入を目指すことも、スキルを生かして他業種で活躍することも十分に可能です。
料理人の平均収入

料理人の平均収入を、男女や年齢、お店の規模、地域別に解説します。
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【男女別】料理人の平均収入
料理人の平均収入は、性別によって差が見られる傾向があります。男性料理人の平均年収は約380~440万円で、女性料理人の平均年収は約280万~300万円です。経験やスキル、働く店の規模や役職によっては平均以上の年収を得られます。女性料理人は、男性と比較すると低い水準です。
女性の料理人の収入が低い背景には、キャリア形成の過程や働き方の違いなどが影響しています。実際の収入は個人の技術レベルや専門分野、勤務先の地域や業態などによって変動します。高い専門性を身に付けて経験を積むことが、男女問わず収入を向上させるための鍵です。
【年齢別】料理人の平均収入
料理人の収入は、年齢を重ねるごとに上がっていきます。経験を積むことで料理の技術が向上し、より責任のある仕事を任されるようになるためです。年代ごとの年収の目安は以下のとおりです。
- 20~24歳:約250万円~300万円
- 25~29歳:約300万円~350万円
- 30~34歳:約350万円~400万円
- 35~39歳:約380万円~430万円
- 40~44歳:約400万円~450万円
- 45~49歳:約420万円~470万円
- 50~54歳:約430万円~480万円
- 55~59歳:約420万円~470万円
- 60歳以上:約350万円~400万円
若い頃は経験が少ないため、収入も比較的低い水準からスタートします。着実に技術を身に付けて経験を重ねると、料理人の年収は上がっていく傾向にあります。
【規模別】料理人の平均収入

お店の規模が大きくなるほど、収入が高くなる傾向があります。従業員の規模の違いによる平均年収は、以下のとおりです。
- 従業員10~99人:約340万円
- 従業員100~999人:約350万円
- 従業員1,000人以上:約380万円
大きな会社の場合、福利厚生やボーナスが年収にプラスされることもあります。大手チェーン店や有名なホテルで料理長になると、さらに高い収入を得られる場合もあります。
【地域別】料理人の平均収入
料理人の平均収入は働く地域によって大きく変わります。地域によってお店の数や種類、客数、求人数、物価などが異なるためです。地域別の料理人の平均年収は以下のとおりです。
- 関東:約420万円
- 関西:約387万円
- 東海:約371万円
- 九州・沖縄:約356万円
- 甲信越・北陸:約355万円
- 中国・四国:約354万円
- 北海道・東北:約345万円
関東地方、特に東京都は、全国的に見ても料理人の平均年収が高い傾向にあります。近畿地方、特に大阪府なども年収は比較的高い水準です。地方の都市や郊外では、都心部と比べると平均年収が低くなる傾向が見られます。最も平均年収が高い地域と低い地域では、100万円以上の差が生まれる場合もあります。
料理人の平均収入のより詳しい情報は、求人情報サイトの地域別データやハローワークの統計情報で確認してください。
料理人のキャリア段階ごとの収入

料理人の収入はキャリアによって変化します。以下のキャリアステージ別の収入について解説します。
- 見習い・アシスタントの収入
- 中堅シェフ・スーシェフの収入
- 料理長・エグゼクティブシェフの収入
- オーナーシェフの収入
見習い・アシスタントの収入
見習い・アシスタントの期間は、料理人としてのキャリアをスタートする大切な時期です。しかし、収入面では以下のとおり厳しい現実があります。
- 月収:10万円台後半~20万円台前半
- 年収:約200~300万円
見習い・アシスタントは一人前の料理人になるための「修行期間」です。技術や知識を習得することが最優先される修業期間の収入は低い水準です。
長時間労働や休日出勤が多い職場環境では、時給に換算すると最低賃金を下回る場合もあります。大手ホテルや有名なレストランでは給与水準が高い場合もあります。経験を積み、スキルが向上すれば昇給の機会はありますが、大幅な収入アップはなかなか見込めません。
見習い・アシスタントの期間の収入は、将来のための技術を磨く準備期間と捉えましょう。
中堅シェフ・スーシェフの収入
5~10年の経験を積んだ中堅シェフやスーシェフになると、料理人としての経験やスキルが評価され、収入が上がる傾向にあります。長年の経験で培われた料理の専門性や、部下を指導したりお店を運営したりするマネジメント能力が求められるためです。中堅シェフ・スーシェフの年収は約350~600万円です。
料理の得意分野を深めたり、お店の運営に関する知識を身に付けたりすると、収入アップも期待できます。役職手当が支給される場合もあります。
食材の仕入れや原価の管理、後輩スタッフの育成など、責任のある仕事を任されるようになると、昇給のチャンスも増えます。特にスーシェフは、料理長の右腕としてより高度な技術と大きな責任を担うため、高い収入が得られやすいです。
料理長・エグゼクティブシェフの収入

料理長やエグゼクティブシェフの年収は約500~800万円です。収入が高くなる理由は料理の腕前だけでなく、店舗運営の業務も担うためです。
実際の収入は勤務するお店の種類や規模、個人の実績によって大きく変動します。一流ホテルや有名なレストランでは年収が1,000万円を超えるケースも珍しくありません。担当業務には新メニューの開発や材料費の管理、スタッフの指導など、経営に関わる内容も含まれます。
役職に応じた手当が支給されることが一般的で、お店の業績が良ければ報奨金がもらえることもあります。規模の大きい企業や都市部のお店ほど、収入が高くなる傾向です。
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オーナーシェフの収入
オーナーシェフの収入は、お店の売上から食材費や人件費、家賃などの必要経費を差し引いた利益から得られます。利益の大きさは、お店の経営状況やオーナーシェフの経営の手腕によって大きく変動します。
お店の経営が成功すれば、従業員時代の年収をはるかに超えることも夢ではありません。しかし、経営がうまくいかなければ収入が大きく減ることもあります。オーナーシェフの収入には上限も下限もありません。
オーナーシェフは経理業務や集客のための戦略立案、資金のやりくりなど、経営者としての幅広い仕事をこなす能力も必要です。労働時間は従業員として働いていた頃よりも長く、休日もお店の経営に関する業務に時間を費やすことが多くあります。
オーナーシェフになると、自由にメニューを開発したり思い通りのお店を運営できたりする大きな魅力があります。しかし、すべての決定に対する責任を自ら負う点も忘れないでください。
職場・環境によるキャリアと収入

料理人のキャリアや収入は、働く場所や環境によって大きく異なります。レストランとホテルの比較、海外で働く際のキャリア・収入について解説します。
レストランとホテルでのキャリアと収入の違い
レストランとホテルでは、料理人のキャリアの築き方や収入にそれぞれ特徴があります。レストランでは、実力があれば若くても責任ある立場を任される場合もあります。シェフとして腕を磨いた後は、独立も可能です。専門性を深く追求しやすい環境である点も特徴です。
ホテルでは、しっかりとした組織の中で一つひとつ経験を積みながら昇進します。レストラン部門だけではなく、宴会やルームサービスなど、さまざまな調理現場の経験が可能です。キャリアの幅が広がり、料理長や総料理長といった組織のトップを目指す道が開けています。
レストランでは、お店の規模や人気、料理人の腕前、評判が収入に直結することが特徴です。独立して繁盛すれば高収入も夢ではありません。オーナーシェフになれば、経営の手腕次第で収入は大きく変わります。
ホテルの場合は、比較的安定した収入が期待できます。給与の基準が明確に決められていたり、社会保険や各種手当などの福利厚生が充実していたりすることが多い点が魅力です。
海外での料理人としての働き方と収入
海外では日本よりも収入の水準が高い国があるため、日本で料理人として働くよりも高い収入を得られる可能性があります。日本よりも高い収入が期待できるのはヨーロッパやアメリカ、オーストラリアなどの欧米諸国です。チップ制度が一般的な国では、基本の収入にお客様からのチップがプラスされることもあります。
お寿司のような専門的な技術を持っている料理人は海外では重宝され、高い収入に結びつきやすい傾向があります。ただし、海外で料理人として働くには就労ビザを取得しなければいけません。現地の人たちと問題なく会話ができる程度の語学力も求められます。
収入の額面だけではなく、海外での生活費や税金を引いた後に手元に残る金額も事前に調べましょう。海外での料理人としての経験は収入アップにつながる良い機会ですが、事前の準備が重要になることを忘れないでください。
料理人として高収入を得るための戦略

料理人として高収入を得るための戦略は、以下のとおりです。
- スキルアップによる昇進を目指す
- 専門資格の取得で収入に差をつける
- 条件の良い職場に転職する
- 独立・開業で収入アップを目指す
スキルアップによる昇進を目指す
料理人として収入を増やすためには、スキルを高め、より上の役職を目指すことが効果的です。料理人の世界では優れた技術や幅広い知識を持つ人が評価され、より重要な役割を任されることが一般的です。
調理技術の向上は基本ですが、店舗運営に関わる知識やリーダーシップなどの能力も身に付けましょう。さまざまな能力を身に付けるとお店への貢献度が高まり、昇進への道が開きます。
専門資格の取得で収入に差をつける
専門資格の取得は、料理人としての収入を増やすための有効な戦略です。資格によって専門的な知識や技術が客観的に証明され、自分の市場価値の向上につながります。
資格を取得すれば専門性をアピールできるため、より高度な業務を任されたり資格手当の対象になったりするケースもあります。専門資格の取得は収入アップにつながり、キャリア形成を後押ししてくれます。
条件の良い職場に転職する

条件の良い職場へ転職すると、収入アップや働き方の改善が期待できます。飲食業界で培った貴重な経験やスキルは、他の分野でも高く評価される可能性があるためです。
» 飲食業から転職するための方法を紹介
飲食業界とは異なる業界や、成長が見込める分野に目を向けることで、自分に合った新たな選択肢を見つけましょう。より良い環境で働くためには、収入だけでなく福利厚生や労働環境などもチェックして、転職活動を進めてください。
独立・開業で収入アップを目指す
料理人が収入を大きく増やすための一つの道として、独立や開業があります。自分のお店を持つことで、努力や工夫が直接収入に反映されやすくなるためです。
独立や開業をすれば、雇われているときよりも大きな収入を得られる可能性があります。お店が繁盛すればするほど、得られる利益も大きくなります。自分の力で収入を大きく伸ばしたいと考えるなら、独立・開業は魅力的です。
ただし、料理人として独立・開業するには初期費用や運転資金、集客の難しさなどリスクも伴います。経営が軌道に乗るまでの期間は赤字が続くリスクもあるため、料理人として独立・開業する場合は事前の準備や資金計画が不可欠です。
料理人の収入に関するよくある疑問

料理人の収入に関する以下のよくある疑問について回答します。
- 料理人でも年収1,000万円は可能?
- 料理人の収入はなぜ低いと感じられる?
- 料理人として長期的に安定して働くにはどうすればいい?
料理人でも年収1,000万円は可能?
料理人でも年収1,000万円を達成することは可能です。高い目標ではありますが、特別な技術や努力で1,000万円の収入レベルに到達する料理人は実際にいます。高収入を得るにはただ料理が上手なだけでなく、さまざまな能力と長年の積み重ねが求められます。高収入を目指す方法は、以下のとおりです。
- 独立してレストランを開業し、人気店に成長させる
- 高級ホテルや有名レストランの総料理長になる
- テレビ出演やレシピ本の出版をする
- 海外の有名レストランで働く
料理人として成功をつかむためには、経営能力やお店のアピール力も必要です。
料理人の収入はなぜ低いと感じられる?

料理人の収入が低いと感じられる理由は、以下のとおりです。
- 休日出勤も多く、時給換算すると低賃金となる
- 見習い中は低賃金となる
- 食材や経費にお金がかかり料理人の給料が低い
- 重労働の割に低賃金と感じる
給料が低くても、料理を作ることが好きという気持ちで働く人が多いことも、料理人の収入が上がりにくい一因になっています。
料理人として長期的に安定して働くにはどうすればいい?
料理人として長期的に安定して働くためには、以下のような意識と行動が求められます。
- 料理の腕を磨き続ける
- 新しい情報を取り入れ続ける
- 心身の健康を保つために自己管理を行う
- 明確なキャリアプランを持つ
- 経済的な知識を身に付ける
さまざまな要素を総合的に高めていくことで、料理人として長期的に安定したキャリアを築きましょう。
まとめ

料理人の平均収入は、年齢や性別、お店の規模、地域、キャリアによって異なります。若い時期は低賃金ですが、キャリアアップしたり自分のお店を持ったりすることで、年収1,000万円を超える人もいます。ただし、高収入を得るためには長い時間と多くの努力が必要です。
高収入の料理人がいる一方で、長時間働いて頑張っても低賃金が続き、あまり報われないと感じる人もいます。料理人として培った経験やスキルが意外なところで役立つケースも多くあります。料理人としての給料や働き方に不安を感じている場合は、料理以外の仕事に目を向けることも方法の一つです。